経験をベースにみずから思考し、将来を選び取る力を培う!

2024/08/08(木)

「挑戦・創造・貢献」を校訓に掲げ、先進的で創造的な教育を推進する工学院大学附属中学校・高等学校。中学校では、文理を問わず幅広い科目をバランスよく学ぶ「先進クラス」と、帰国生や国内インターナショナルスクール出身の生徒が多く在籍し、英語で学び、思考する力を培う「インターナショナルクラス」、高校では「先進文理コース」「文理コース」「インターナショナルコース」に分かれて、それぞれの目標に向かいます。

今回は、「生徒はもちろん、教職員も、さらには保護者のみなさんも、『工学院でよかった!』と言ってくれるような学校でありたい」という中学校教頭の田中歩先生にお話をうかがいました。

「まず、やってみよう」という感覚を養う

 田中先生は、「すべての活動のベースに“経験すること”を置いているのが本校の教育のいちばんの特徴だと考えています」とおっしゃいます。

AI化が進む現代社会では、ネットで情報を集めるだけで満足し、実際に経験しないで完了してしまうことも多いのではないでしょうか。でもたとえば、私自身、かつてセブ島研修でスラムを訪れた際、その匂いや人々の雰囲気に触れたことで、世界の貧困問題について実感をもって考えられるようになりました。文字で調べたことと、実際に経験するのではまったく違います。だからこそ、生徒には学校生活を通じて『まず、やってみよう』という感覚を養ってほしいと思っています」。

 2日間にわたって行われる中1の「新入生オリエンテーション」も、さまざまな経験ができるように工夫されています。1日目は、数人のグループで絡み合うようにして手をつなぎ、その手を離さずに、みんなで協力しながら絡まりを解いていく「人間知恵の輪」、グループごとに文字の書かれたカードを探しながら学校内のいろいろな場所を回る「校内ウォークラリー」、1人ずつ、漢字1文字を選んで色紙に筆で書き、その文字を選んだ理由に加えて、10年後の自分について話す「自己紹介プレゼンテーション」と、実際に体を使ったアナログな活動を中心に、人間関係の基盤をつくっていきます。すると2日目にはリーダーシップを発揮する生徒が自然発生し、クラス目標や委員会・係決めは生徒に任せることができるのだとか。また、2日目にはICTを使った活動を行いますが、生徒は前日の手作業とくらべて、「デジタルだと一瞬で処理できるんだ」と体感するといいます。

“問いを出すまでの過程”を重視した

オリジナルの探究活動を展開

同校では、今年度、中1、中2の「探究」の授業をIBL(Inquiry Based Learning)と改めました。Inquiryは「尋ねること」「問い合わせ」というような意味ですが、ここではthe process of asking a Questionすなわち探究における“問いを出すまでの過程”と位置付けています。

「ベンジャミン・ディズレーリという人の言葉に、『経験は思考から生まれ、思考は行動から生まれる』という言葉があります。考えてから行動するのではなく、行動することが思考につながり、それが経験になるという考え方で、IBLでも、たくさんの選択肢の中で、なぜこの問いを選んだのかという思考の過程にフォーカスして学びます」。

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