「学校が楽しい!」「学校に行きたい!」――目を輝かせ、声をそろえる国士舘中学校の生徒たち。中学校教頭の神山優子先生は「それが何よりもうれしいですね」と笑顔で話します。
「本校には、授業でも部活でも行事でも、生徒がともに活動し、お互いに理解し合えるような機会がたくさんあります。その中で一人ひとりが自分の役割を認識し、それぞれの特性を活かし合うこともできるようになっていきます。こうした人間関係を築くことが、心の底から『学校が楽しい』と思える土台になっているのではないでしょうか」。
武道と礼法を教育の基本に据え、柔剣道や書道の授業を必修としている国士舘ですが、礼節を大切にしながらも、生徒が生き生きと楽しく成長できる環境を築き上げています。重視しているのは「ホンモノの体験」を通して学ぶこと。今回は国士舘ならではの国際教育についてお話を伺ってきました。
「次は実際に海外に行ってみたい」と思えるような体験を用意
国士舘中学校は英検の全員受検、ネイティブスピーカーによる英会話授業を実践し、「聞く(listening)」「読む(reading)」「話す(speaking)」「書く(writing)」の英語4技能をまんべんなく身につける指導を展開しています。「3年間で確かな語学力がつき、高校入学後のアドバンテージになった」と話す生徒は少なくありません。
とはいえ、語学力を身につけるだけにとどまらないのが国士舘の国際教育です。さまざまなプログラムを用意して、国際感覚に磨きをかけます。中2は全員が福島県にある「ブリティッシュヒルズ」を訪れ、ネイティブのレッスンを受ける2泊3日の宿泊研修を実施。夏休みには中高の希望者対象で15日間のオーストラリア語学研修も行われます。
「ブリティッシュヒルズはイギリスの街並みを再現した施設で、本当に外国に来たような気分が味わえます。英語を使わなければというプレッシャーはありますが、入国審査やホテルのチェックインを済ませるうちに、少しずつ生徒の気持ちはほぐれてきます。そしてレッスンが始まると、正しい文法を気にするよりも、まずは知っている単語を並べて伝える方が大切だと実感します。ネイティブのスタッフが上手に対応してくれて、わからなければ教えてもらえるし、失敗してもいいと思うことで、生徒たちはどんどん積極的になります。今まで英語に苦手意識を持っていたのに、ここで発音をほめら
れたことが自信になり、その後、大きく力を伸ばした生徒もいるんですよ」。
ハリーポッターの映画に出てくるような食堂での食事。宿泊する部屋はもちろんベッドで、風呂はシャワーのみ。施設内でクリケットやホッケーといったブリティッシュスポーツを体験できるほか、ロンドンのパブを模した場所では、炭酸水で乾杯したり、ダーツをしたりと雰囲気を楽しむこともできます。
「日本に居ながらにして海外の文化を体験できるとてもありがたい施設だと思っています。でも実は中学生は友だちとお泊りできるなら、場所はどこでもいいというのが本音なんですよね(笑)。だからこそ、友だちと一緒にこうした体験をすることが重要だと考えています。もちろん語学力や国際感覚が身につくのはすばらしいことですが、多くを求めるつもりはありません。何より大切なのは、『すごく楽しかった!』という思い出ができることです。これをきっかけに、次は実際に海外に行ってみようと思ってくれたら、それで充分です」。