仲間とともに楽しみながら、国際社会への第一歩を踏み出す!

2023/11/11(土)
 「学校が楽しい!」「学校に行きたい!」――目を輝かせ、声をそろえる国士舘中学校の生徒たち。中学校教頭の神山優子先生は「それが何よりもうれしいですね」と笑顔で話します。
 「本校には、授業でも部活でも行事でも、生徒がともに活動し、お互いに理解し合えるような機会がたくさんあります。その中で一人ひとりが自分の役割を認識し、それぞれの特性を活かし合うこともできるようになっていきます。こうした人間関係を築くことが、心の底から『学校が楽しい』と思える土台になっているのではないでしょうか」。
 武道と礼法を教育の基本に据え、柔剣道や書道の授業を必修としている国士舘ですが、礼節を大切にしながらも、生徒が生き生きと楽しく成長できる環境を築き上げています。重視しているのは「ホンモノの体験」を通して学ぶこと。今回は国士舘ならではの国際教育についてお話を伺ってきました。
「次は実際に海外に行ってみたい」と思えるような体験を用意
 
国士舘中学校は英検の全員受検、ネイティブスピーカーによる英会話授業を実践し、「聞く(listening)」「読む(reading)」「話す(speaking)」「書く(writing)」の英語4技能をまんべんなく身につける指導を展開しています。「3年間で確かな語学力がつき、高校入学後のアドバンテージになった」と話す生徒は少なくありません。
 とはいえ、語学力を身につけるだけにとどまらないのが国士舘の国際教育です。さまざまなプログラムを用意して、国際感覚に磨きをかけます。中2は全員が福島県にある「ブリティッシュヒルズ」を訪れ、ネイティブのレッスンを受ける2泊3日の宿泊研修を実施。夏休みには中高の希望者対象で15日間のオーストラリア語学研修も行われます。
 「ブリティッシュヒルズはイギリスの街並みを再現した施設で、本当に外国に来たような気分が味わえます。英語を使わなければというプレッシャーはありますが、入国審査やホテルのチェックインを済ませるうちに、少しずつ生徒の気持ちはほぐれてきます。そしてレッスンが始まると、正しい文法を気にするよりも、まずは知っている単語を並べて伝える方が大切だと実感します。ネイティブのスタッフが上手に対応してくれて、わからなければ教えてもらえるし、失敗してもいいと思うことで、生徒たちはどんどん積極的になります。今まで英語に苦手意識を持っていたのに、ここで発音をほめら
れたことが自信になり、その後、大きく力を伸ばした生徒もいるんですよ」。
 ハリーポッターの映画に出てくるような食堂での食事。宿泊する部屋はもちろんベッドで、風呂はシャワーのみ。施設内でクリケットやホッケーといったブリティッシュスポーツを体験できるほか、ロンドンのパブを模した場所では、炭酸水で乾杯したり、ダーツをしたりと雰囲気を楽しむこともできます。
 「日本に居ながらにして海外の文化を体験できるとてもありがたい施設だと思っています。でも実は中学生は友だちとお泊りできるなら、場所はどこでもいいというのが本音なんですよね(笑)。だからこそ、友だちと一緒にこうした体験をすることが重要だと考えています。もちろん語学力や国際感覚が身につくのはすばらしいことですが、多くを求めるつもりはありません。何より大切なのは、『すごく楽しかった!』という思い出ができることです。これをきっかけに、次は実際に海外に行ってみようと思ってくれたら、それで充分です」。
日本文化を学ぶことが国際交流につながると実感

 オーストラリア語学研修はコロナ禍でしばらく中止になっていましたが、今年度は無事に再開し、中学生も3名参加しました。
 「この語学研修では一人1家庭にホームステイをして、現地校に通います。ふだんの授業だけでなく、オーストラリアならではのスポーツを体験したり、大自然を味わう校外学習にも出かけます。また、日本語の授業に参加したり、書道を披露したり、すごろくやお手玉、福笑いなど日本の遊びを紹介することもあります。英語を話すだけでなく、文化の交流が大きな経験になっています」。
 さらに秋にはオーストラリアの生徒が来日し、学校を見学したり、高校生が観光に付き添ったりと交流を深めます。特に書道、柔道、剣道の授業見学は、日常的に日本文化を学ぶ国士舘だからできると言ってもいいでしょう。
 「本校では、全生徒が中1で柔道と剣道を、中2以降はどちらかを選択して学び、書道は和室で正座して習います。今回のオーストラリアの生徒だけでなく、多くの国から見学したいという方々が訪れて、いつもとても喜ばれています。生徒にとっても、日本文化を学ぶことが国際交流につながると実感できるいい機会になっていると思います」。
 こうして国士舘の生徒たちは、仲間とともにさまざまな体験を楽しみながら、国際社会への第一歩を踏み出していくのです。
防災への意識を高める 大規模な体験防災学習
 
 国士舘は、中高大と一貫して「災害に強い学園」をめざしています。中学校で年1回、東京消防庁・世田谷区の協力のもと、「VR車を使った防災体験」や「煙中避難訓練」、「応急救護訓練」など、大掛かりな体験型防災学習を実施するほか、中2は救命技能認定の資格取得を目標に学びます。
 今年度の体験防災学習は東京臨海広域防災公園・そなエリアにて、例年以上に大規模に開催されました。中1から中3の全員が6グループに分かれて、そなエリアに設けられた防災体験学習ツアー「東京直下72hTOUR」を中心に、7種のプログラムを体験。地震災害後の支援が少ない時間を生き抜く知恵を学びながら、昼食も非常食をいただくという貴重な経験をすることができました。
 「体験する前は遊園地のアトラクションに乗るような気分だった生徒も、いざ体験すると、恐ろしさを実感し、自分の身を守るためにはどうしたらいいか真剣に考えるようになります。こうした学習を通して人の命の尊さを実感し、災害の備えを実践していきたいと考えています」。
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