玉川学園の広大なキャンパスで たくさんのホンモノに触れて、 あなたの“宝”を見つけよう!

2023/07/18(火)
61万㎡の広さを誇る自然豊かなキャンパスに、最先端の施設がそろう玉川学園。
文部科学省指定スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の16年目(IV期)を迎えた今回は、中学部の理科教育と玉川学園SSHとしての取り組みをうかがってきました。
理科の授業は実験と観察からスタート
 玉川学園の理科の授業は、理科教育専門校舎サイテックセンターで行われます。各フロアが物理、生物、化学とわかれているだけでなく、1階にデジタルプラネタリウム、ロボット工房、サンゴ水槽が設置され、最新鋭のサイエンスミュージアムともいえる校舎です。それぞれ専門の器具がそろっていて、教科書に載っている実験はもちろん、興味があれば、より高度な実験にも挑戦することができます。
 「理科の授業は、基本的に実験や観察からスタートします。特に中学1年生は器具の使い方からしっかり理解する必要があり、すごく実験が多いんですよ」とおっしゃるのは中学理科教科主任の金平先生です。
 「生徒が楽しんで取り組めるように、実験にもちょっとした工夫をします。たとえば中1の化学の最初の実験では、ブロック型やパイプ型、鎖状のものなど4種類の物体を用意して、それぞれ上皿天秤で質量を量り、次にメスシリンダーの水の中に入れて体積を計って密度を測定します。その結果を物質の密度の一覧表と照らし合わせて、それぞれの物体が何でできているかを突き止めます。用意したのはアルミニウム、ステンレス、銅、塩化ビニルでしたが、金色の物体が金ではなくアルミニウムだとわかると生徒から驚きの声が上がりました。実際に自分の手で計測することで、今まで意識したことのなかった物質の密度というものに興味が湧きます。また、きちんと計測できなければ正しい結果にたどり着けないということを経験し、実験に取り組む姿勢も身に付くと考えています」。
 生徒全員が自分のノートパソコンを持参して授業で活用するBYOD(Bring Your Own Device)を導入し、デジタル化も積極的に進めていますが、何よりも大切にしているのは「ホンモノに触れる」体験です。光、音、におい、熱などを自分の五感をフル回転して感じることが学びのスタートになります。
 「化学や物理の実験だけでなく、生物分野なら植物や昆虫、地学分野なら岩石と、キャンパス内にはいくらでも教材があるので困りません」と金平先生は話します。畑で大根を育てて、咲いた花を生物の授業で使うこともあるのだとか。
 「好きなことややりたいことがあったら、いくらでも追究してほしいですね。まだ
自分の好きなことがわからないという人も、このキャンパスで学校生活を送れば、必ず見つかるはずです。ぜひあなたの“宝”を見つけに来てください」。
玉川学園SSH IV期目は「協働」をテーマに全教科でチャレンジ
 「社会との共創」を目標に掲げて、生徒の主体性を育むさまざまな活動に取り組んできた玉川学園SSH。毎週2時間、生徒一人ひとりが自分の興味・関心をもとに決めたテーマで研究を行う探究型学習「自由研究」の授業をはじめ、卒業生や企業の方を招いて講演会を行う「サイエンスキャリア講座」、ロボット部、サイエンスクラブ、サンゴ研究部といった科学系クラブ活動のほか、ふだんの授業でもデータサイエンスを取り入れるなど、最先端の研究・技術に触れ、実践的に学ぶ機会を数多く用意しています。
 2004年にサイテックセンターが設立されたことも追い風となり、本学園のSSHがスタートしました。さらに広大な敷地内の豊かな自然、大学の研究施設など、好きなことを好きなだけ研究できる環境が整っていることで、活動の幅がどんどん広がっています」とSSH担当の矢崎先生が説明してくださいました。
 「SSHの特徴は、科学系クラブに所属するような一部の生徒だけでなく、すべての生徒が興味を持って活動できるようにしているということです。授業の一環でレベルの高い探究活動を行っており、生徒たちは自分の興味・関心に応じて、それぞれのやり方で研究を深めています。科学系クラブでどっぷり好きな研究に打ち込む生徒もいれば、運動部や吹奏楽部など理系とは関係ないクラブに所属しながら、自由研究や理科の授業で興味を持ったテーマに個人的に取り組む生徒もいます。そして多くの生徒が科学系のコンテストに積極的に参加し、全国大会や世界大会で優秀な実績を打ち出しています。また、こうした研究が評価されて、大学に進学する生徒も増えています。SSHの活動が学校全体に浸透し、すべての生徒の中に教科の壁を越えた創造的な科学思考が育まれているといえるでしょう」。
 全国規模の科学系コンテスト・学会・発表会での受賞は、ここ5年間で通算144件に及び、玉川学園の探究活動が高い評価を受けていることがわかります。さらに今年度IV期目の指定を受け、今までの活動に加えて、新たなプロジェクトが次々と始まろうとしています。最大のポイントは「協働」をテーマに、全教科でSSHとしての取り組みにチャレンジすることです。すでに昨年、家庭科の先生が主導して挑戦した「食のSDGsコンテスト」では全国3位を獲得しています。「玉川学園SSHはこれからも進化していきます。生徒たちが、思いもよらないすばらしい成果をあげられるような場をどんどん作っていきたいですね」。

前のページに戻る